こんにちは、プロ象(@shoshi_pro)です。
小学校でプログラミングが2020年度から必修化されて、早2年が経ちました。
その流れを受けて、2025年度入試からは大学入試共通テスト(一世代前の時代は「センター試験」、さらに昔は「共通一次」なんて呼ばれていたテストです)で「情報Ⅰ」が必修科目となり、「6教科8科目を原則とする」とするなど、教育における「情報化」の波は、世間から送れること20年ほどを経て大きなうねりをもって迎えられました。
正直、私個人の考えでは、大学などの専門教育だけではなく、もっと早く小学生のころから一般教育としてプログラミングを教えた方がよかったよなぁと感じます。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって、2023年に行われるはずだったタブレット配布が前倒しになり、2021年に多くの学校で1人1台端末が実現しました。
その端末はiPadの場合もあれば、Chromebookの場合もあるなど、地域・自治体によって差があるのが現状です。
そのような中で、小学校のプログラミング教育はどのようなことが行われているのか、疑問に思っている方も多いのでは。
そして大学入試に情報Ⅰが入るので、「将来のためにプログラミング習わせた方がいいかしら?」と思っている保護者の方の疑問に答えられる内容をまとめていきます。
結論としては以下の通り。
- プログラミング教育の目的は「プログラミング的思考」を身に着けさせること。
- GIGAスクール構想によってタブレット端末の普及率は令和3年10月の報告の時点で96%以上。
- その学校での使用率は、「ほぼ毎日」と答えた小学生が55.4%と約半数。週3回と答えた率を含めると8割以上に。
- では、タブレットを使ったプログラミングの授業が行われているかというと、一概には言えない。学校間で差はあると考えられるが、特に低学年はタブレットやPCを使わない「アンプラグド」なプログラミングも行われている。
- 小学校の段階ではテキストプログラミング(キーボードで文字を打つプログラミングなど)はほとんど行われていない。高学年でもScratchなどのビジュアルプログラミング言語の利用がほとんど。
- 他の習い事と同じく、本人の興味・関心が大切である。プログラミングを教えてくれる教室が近くにあれば一度体験に参加してみるのも手。近くにないのであればオンラインスクールを検討。
プログラミング教育の概要
プログラミング教育の目的
プログラミング教育の目的は、一言でいうと「プログラミング的思考の育成」です。
「小学校プログラミング教育の手引き」では、その冒頭に「あらゆる活動においてコンピュータなどを活用することが求められるこれからの社会を生きていく子供たちにとって、将来どのような職業に就くとしても、極めて重要なこととなっています」と述べられています。
つまり、大学や専門学校で行われる専門教育だけではなく、小学校・中学校・高校で行われる一般教育としてプログラミングを知ることは、これからの社会で活躍するために必要なスキルであると述べているのです。
もちろん、IT人材の不足が起こっているので、IT関連に関わる人材が増えてほしいという目論見がないとは言い切れない部分もあります。
少し古い資料になりますが、IT関連の人材不足2015年には17万人が不足となっていたIT人材が、2030年には最大79万人も不足すると見込まれており、人材の育成が急務であると言えます。
一般教養としてプログラミング的思考力を高めるとともに、例えば小さいころに動物に触れて獣医や動物園の飼育員を目指したり、美味しいケーキを食べてパティシエを目指したりというように、小さいころからプログラミングに触れて楽しいと感じることで、IT関連の職種を目指す人材を発掘したいという面があるとも言えるでしょう。
「プログラミング的思考」とは
先ほどの「小学校プログラミング教育の手引き」では、プログラミング的思考を次のように定義しています。
「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」
「小学校プログラミング教育の手引き(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/14031 62.htm)」より
何とも分かるような、分からないような回りくどい表現ですが、これはつまり、「間違いを繰り返しながら、最適な方法で問題を解決するには、どのようにしたらよいかを試行錯誤して見つけていく力」ということです。
プログラミングをやっていると1回で全部がうまくいくなんてことはありません。間違って当たり前、ミスがあって当たり前で、それを修正してどんどん意図する動きに近づけていくのが普通です。
そういった「粘り強く物事に取り組んで、どのようにしたら効率よく問題解決できるのか考える力」もこのプログラミング的思考に入ります。
将来にどのように役立つのか
プログラミング的思考を身につけることで、次の力が身に付きます。
- 物事を分解して分析する力
- 物事を正しく組み合わせる力
- 物事をシミュレーションする力
- 物事を抽象化して考える力
- 物事を一般化する力
一つ一つ見ていきましょう。
物事を分解して分析する力
物事を大きくとらえるだけでは、複雑で難しい問題に感じてしまうことって多いです。
例えば、ハンバーグを作るとなったとき、ぼんやりと完成したハンバーグを見つめていても、その作り方が分からない状態に似ています。
ハンバーグを見て、「ひき肉が使われているな」「焼かれているな」「玉ねぎも使っているな」「練っているな」など、ハンバーグという料理を細かい要素に分解してとらえることが「物事を分解して分析する力」と言えます。
これができることで、起こった問題や解決したい問題についても、分解して分析することができることができるようになります。
物事を正しく組み合わせる力
続いて、それら細かく分けて分析したものを正しく組み合わせていきます。
ハンバーグで言うと、どんな材料が使われているか、どんな調理がされているか分析したものを、工程順に並べるということに似ています。
「玉ねぎを切る」「いためる」「ひき肉と合わせて調味料をいれて練る」「焼く」という手順に並べられるというのに近いでしょうか。
細かく分析した内容を、どのような手順で組み合わせれば問題解決につながるかを見通す力につながります。
物事をシミュレーションする力
シミュレーションする力とは、手順を実行する前に、頭の中であらかじめどのようになるか想像する力です。
調理前に工程を想像し、考えておくことによって本番の調理がスムーズになりますね。それと同じく、問題解決の手順をあらかじめシミュレートできれば、本番の問題解決の場面でスムーズになります。
物事を抽象化して考える力
抽象化して考える力とは、今回の手順が他の場面に活用できるか、本質を抜き出して考えられる力が抽象化する力になります。
ハンバーグで言うと、例えば焼く工程の中で焦げ目をつけて肉を焼くことによって、メイラード反応が得られて美味しくなる、ということを経験から学びます。肉料理の本質ですね。そうすれば、他の肉料理にもその経験の応用することができるようになるのと似ています。
問題解決の場面では、今回考えた手順が他の場面に応用できないか考えて、手順をストックしておくことや、問題の本質をとらえて、次に生かすということになるでしょうか。
物事を一般化する力
物事を一般化する力とは、誰がやっても同じ結果になるように、いわばマニュアル化などをするような力になります。
今回のハンバーグの例では、誰でも同じハンバーグを作ることができるように料理本化することができる、というのと似ています。
つまり、問題解決をしていく段階で、同じ問題が出てきた際に誰でもその問題が解決できるようにマニュアル化できるということです。
これができることによって、自分が培った能力を別の人にも共有して、グループ全体の問題解決力を向上させる原動力になることができます。
GIGAスクール構想の前倒し、2021年でほぼ1人1台端末を達成
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校が休校となる事態などが全国で頻発しました。
その中で、「学びを止めるな」を合言葉に、オンラインでも学習ができるようにと、タブレットPCの配布を急ぎました。
その結果、「端末利活用状況等の実態調査」によれば、2021年3月末の段階で96.2%の学校で1人1台端末が実現し、子供たちのPCに関する環境が大きく変わり、4月から各学校での利活用がスタートしたのです。
令和4年度の全国学力学習状況調査の中で、タブレット端末に関する調査を合わせて行っており、「1人1台端末の利活用促進に向けた取組について」の中では「ほぼ毎日学校で使用している」と回答した割合は全国平均で55.4%、「週3日」も含めた値は全国平均83.1%になっています。
多くの学校でタブレット端末を利用した授業が行われていることがこのデータからも分かります。
また、この調査は令和3年度までの状況を反映したものなので、昨年1年間を経て令和5年の現在は、更に利活用が進んでいるのではないかと予想されます。
低学年ではPCやタブレットを使わないプログラミングも
プログラミング教育は、教科になっているわけでもなく、「〇年生からやりなさい」という規定もありません。いわば、学校の裁量、担当者の裁量によってどのようにでもできる状況にあります。
「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」では、さまざまなプログラミング教育の例が載っています。
例えば、算数で多角形を書く際に、Scratchを使ってプログラミングして書かせる例(これ、割と有名ですね)や、総合的な学習の時間に絡めて、調査した内容をプログラミングを利用しながら発表する例、などが散見されました。
面白いのが、「ルビーの冒険」という絵本の例や、「グリコード」というポッキーでおなじみの「江崎グリコ」が開発したプログラミング学習の教材です。
これらはパソコンなどを使わずに、いわゆる「アンプラグド」で学習するものです。そのようなPCを使わない環境で学習後、学年が上がるごとにPCを利用する機会を増やすという試みも行われているようです。
高学年ではScratchなどのビジュアルプログラミング言語
高学年になってくると、自動車のキットを使って、自動運転に関連するプログラミングをしたり、Scratchを利用して宅配便のシミュレーションができるプログラムを開発したりなど、総合的な学習の時間を使って行われるものが多いです。
しかし、そこにはトヨタ自動車や佐川急便などの企業が主体となって授業を行ってくれたりなど、「産学連携」が行われており、一般の小中学校では実施が難しいのではないかと思われるものが多かったです。
使用されている言語は、ビジュアルプログラミング言語と呼ばれる、Scratchなどのブロックをつなげてプログラミングするものがほとんどで、テキストを入力するタイプの言語はあまり使われていないのではないかと思われます。
地域の小学校ではどのようなプログラミングの授業が行われているかは、実際に通っているお子さんの話を聞いてみて判断するしかありませんが、私の息子からはプログラミングの話は全く聞こえてこないのが実情です(笑)
習い事としてプログラミングはさせた方がよい?
大学共通入試に「情報Ⅰ」としてプログラミングに関連する内容が出てくるという話を聞いて、「プログラミング習わせた方がいいかしら?」と考える保護者の方もいらっしゃるのではと思います。
「情報Ⅰ」の試作問題を見ると、テキストプログラミングを学習しないと分からないようなプログラミングに関する問題が出ています。
中学校の技術・家庭(技術分野)でもプログラミングの学習は行われますが、テキストプログラミングを学ぶのはごく少数です。そのため、高校の授業で「情報Ⅰ」を学ぶ際に、大きなギャップが生まれています。
そのギャップを埋めるためには、やはりプログラミング教室に通わせた方がよい、と考えるのも自然なことですね。
しかし、そこにはまず本人の興味・関心があるかというのが大切です。
他の習い事を考えてください。興味・関心がないものは身にならないという経験、自分自身でもされた方もいるのではないでしょうか。(塾は別かもしれませんが笑)
やはり「好きこそものの上手なれ」で、興味・関心がないものは長続きしませんし、上手になっていきません。ですから、本人の興味・関心が大切になります。
そのうえで、本人が興味があるという場合は、習い事としてプログラミング教室に通う選択もありなのかなと思います。
その理由として、①学校の授業だけでは、十分なプログラミング教育がされない可能性があるということと、②教室であれば本人の興味・関心に合わせてより深くプログラミングを教えてもらえる環境に出会えるということが挙げられます。
その選び方ですが、できれば対面で受けられる方がよいので、地元にプログラミング教室があるかを調べてみましょう。オンラインよりもモチベーションが続くからです。
オフライン(通い)のスクールおすすめ
地元や通うことのできるプログラミング教室を検索する際に、もちろん、近くて地域に密着した教室というのを選ぶのも一つですが、よりカリキュラムが整ったいわゆる「大手」が安心できますね。
下記リンクから調べてみて、自分のお住いの地域から通えるスクールがあれば、一度体験などに足を運んでみるのもよいでしょう。
Crefus
政令指定都市や都会にお住いの方であれば、このCrefus(クレファス)というスクールはとてもおすすめです。
「レゴ」は聞いたことあるでしょうか?そう、あのブロックで有名な会社ですね。そのレゴ社が出している「レゴ・マインドストーム」は知っていますか?
このようなレゴのロボットを作って、そのロボットにプログラムを書き込むことで動作する体験をすることができます。
パソコン上だけでプログラミングするのも面白いですが、こういったロボットが目の前にあって、それをプログラミングで自由自在に動かす、意図した動きをさせるというのは、子供ならば絶対に一度は夢見るもの。
それをレゴという子供に大人気のブロックを使ってやるのですから、やる気になるってものです。
カリキュラムもしっかりしており、世界最大規模のロボットコンテスト「First Lego League(FLL)」に毎年日本代表チームを輩出しているなど、そのカリキュラムは折り紙付きです。
ネックになるのが、教室が大都市圏に偏っていて、政令指定やその周辺にしか主な教室がないことでしょうか。ですが、大都市圏やその周辺にお住いの方であればまず第一に検討すべき教室であると言えます。
教室がお住いの近くにあるかは以下のリンクから調べられます。
料金は以下の通り。もし近くにCrefusがあるなら、無料体験もやっていますので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
初期費用・入会金 | 16,500円(税込み) |
受講料・教材費 | 11,000円/1か月(キッズジュニアコースの場合) |
その他費用 | 1,100円/1か月 |
ヒューマンアカデミー ロボット教室
専門学校も運営している【ヒューマンアカデミー】が開く子供プログラミング教室です。
Scratchでのゲーム作りや子供たちに人気のマインクラフトを使ったプログラミング、そのほかにも動くロボットにプログラミングする内容もあるなど、そのカリキュラムの幅広さはさすが専門学校も運営するヒューマンアカデミーと言えます。
利点としては、比較的地方都市にも教室があり、駅に近い教室が多く、通いやすいというところ。
「コエテコ」の口コミを見ても、総評としておおむね高い点数が付いていますが、その教室の先生によっては合う、合わないなどがありますので、まずは教室検索からお近くの教室を探してみて、体験に足を運んでみるのがよいのではないかと思老います。
初期費用・入会金 | 11,000円(税込み) |
受講料・教材費 | 9,900円+660円(教材費)/1か月 |
その他費用 | 2,420円(バッグ・バインダー代)(初回のみ) |
LITALICOワンダー
続いては、【LITALICOワンダー】というプログラミング教室です。
首都圏にしか教室がないのがネックですが、他のプログラミング教室は月2回のカリキュラムがほとんどですが、このLITALICOワンダーは月4回の授業を通常としていて、やはり毎週授業があるのは記憶の定着などを考えるととてもうれしいです。
ただ、その分の月謝が高くなってしまうのは仕方ない部分ですが、ちょっと高いな…という口コミがあるのも事実。ですが、その分、カリキュラムは充実していて、テキストプログラミング(JavaScriptやC#など)までしっかりと教えてもらえます。
初期費用・入会金 | 16,500円(税込み) |
受講料・教材費 | 7,425円(1回)×4回=29,700円/1か月 |
その他費用 | コースによって別途料金がかかる場合あり |
オンラインでも教室を開いており、そちらの方が若干、リーズナブル(1回5,000円)です。
オンライン(自宅で)のスクールおすすめ
どうしても近くに教室がない、通うのが難しい、という場合はオンライン教室を選択するのも手です。
自宅に教材が届いて、それを使いながらプログラミングを学ぶことができるスクールもあり、自宅にいながらにして本格的なプログラミングを学習することができます。
Tech Kids School(テックキッズスクール)
サイバーエージェントという会社は知っていますか?そう、ABEMAを運営したり、ウマ娘プリティーダービーなどのゲームを運営している会社です。
そのサイバーエージェントが運営するのがTech Kids School【テックキッズスクール】です。
教室が渋谷校のみしかないため、渋谷校に通うことができなければオンラインでの申し込みになってしまうので、オンラインでおすすめに入れています。
Skype(通話アプリ)とサイバーエージェントが開発したQureoを利用してプログラミングを学習していきます。
入会金は必要なく、月額料金のみで受講できるのがうれしいところ。
初期費用・入会金 | 無し |
受講料・教材費 | 13,200(税込み)/1か月(クレジットカード決済のみ) |
その他費用 | 無し |
e-Crefus
オフライン(通い)でもおすすめしたcrefusのオンライン授業【e-crefus】になります。
オンラインで受講するため、都合のよい時間に、都合のよい場所で受講することができるのが強みですね。
先生への質問も、時間は決まっていますがいつでも可能で、分からないことがあったとき、質問したいときにできる親切設定なのもうれしいところ。
申し込みをすると、教室で使用されている教材が自宅に届き、そのロボットを使いながらプログラミングを学んでいくスタイルです。
初期費用・入会金 | 16,500円(税込み) |
受講料・教材費 | 7,700円(小3ブロンズコース)~+550円(教材費)/1か月 |
その他費用 | 550円(システム管理費) |
まとめ
小学校でプログラミングが必修化された理由と、プログラミングを習わせた方がよいかについて、以下のようなまとめとなります。
- プログラミング教育の目的は「プログラミング的思考」を身に着けさせること。
- GIGAスクール構想によってタブレット端末の普及率は令和3年10月の報告の時点で96%以上。
- その学校での使用率は、「ほぼ毎日」と答えた小学生が55.4%と約半数。週3回と答えた率を含めると8割以上に。
- では、タブレットを使ったプログラミングの授業が行われているかというと、一概には言えない。学校間で差はあると考えられるが、特に低学年はタブレットやPCを使わない「アンプラグド」なプログラミングも行われている。
- 小学校の段階ではテキストプログラミング(キーボードで文字を打つプログラミングなど)はほとんど行われていない。高学年でもScratchなどのビジュアルプログラミング言語の利用がほとんど。
- 他の習い事と同じく、本人の興味・関心が大切である。プログラミングを教えてくれる教室が近くにあれば一度体験に参加してみるのも手。近くにないのであればオンラインスクールを検討。
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